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Posted by ミリタリーブログ  at 

2010年09月19日

モンゴル丘の伝説

                    モンゴル丘の伝説。
  
  .モンゴル丘の位置。
モンゴル丘は根室半島の中程の太平洋側にあります。この名前は私が付けました。
根室半島は隆起大地で殆んどの所が海抜10~20mの丘で所々が侵食され沢になっております。
半島自体の幅が5~10kmしかないのですが最も北海道らしい景色の多い所の一つです。
周辺の全てが一度は開拓され牧場になりましたがすでに放置されて笹原になっている所が多いのですがモンゴル丘だけは数年前までは放牧が行われておりました。隣接は幸か不幸か2005年頃から野鳥の会が所有する私設保護区です。

モンゴル丘は広大な私有地で東西に3km、南北に2km程、概ね台地ですが大きな沢が4本あります。写真はその中央の部分です。太平洋が良く見えます。
私有地ですからここで狩猟をする時は所有者又は管理者の許可が必要です。2006年ここをスクールの所有地にしようと交渉しましたが、残念ながら流れてしまいました。ここは会員や生徒であってもその都度許可を取得して利用しなければなりません。

    写真はモンゴル丘の約半分、ここを100頭のオスの群れが走るのですから心は躍ります。


  .モンゴル丘の猟法。
ここの猟法は基本的には巻き狩りです。他の根室白崎会員の中に一般的な巻狩りを行なうメンバーもおりますが、本州で一般的な猟犬を使う巻き狩りではなく猟犬を使わない巻狩りです。半分のメンバーが勢子を兼ねた忍び撃ちで残り半分は通過待ち猟を兼ねた巻き狩りで東北地方以北ではこれが巻き狩りのスタンダードであり、もちろん北海道でも巻狩りと言えばこれを指します。

ここモンゴル丘で私が行なう巻き狩りはイメージ的にはアフリカのサバンナ大草原で行なわれているサファリドライブの様な車で追跡する巻狩り風の追跡猟です。サファリ猟と私が名を付けました。北海道広しと言えどもサファリ量が出来ると所は非常に限られます。
勢子側の車が1台、射手側の車が1~2台、射手は各々の車に1名いればベストですがドラーバーが射手を兼ねていても構いません。

勢子の車は沢の淵をゆっくり走り、時に停車したりバックしてシカにプレッシャーを与えて追い出し、射手側の車に逃避方向を連絡します。もちろん射撃可能であれば勢子側が撃ち獲ります。射手側は追い出された位置や連絡のあった逃走方向から数ある逃避ルートのどれかに向かって車で先回りする猟法で、元々が追跡猟に近いタイプとなります。

シカは一度待ちに掛かり射撃を受けますとまた方向を変えます。そうするとまたその先の方向を読んで勢子側か車種側の車が急行し待ち受けます。時には追跡し追いつく都度にシカに勝負を挑む場合もあります。これらだけでも上手く行けば何度も射撃出来ます。
更にそれ以外にも上手く行けば別の群れが違う場所からも出ますので最初の群れの複数射撃と合わせますと合計で相当の回数撃てると言う、それはそれは男の心を熱くする狩猟方法であり、それを可能とする数少ない素晴らしい猟場の1つなのであります。

過去にも100頭程のオスの群れが出たり、全ての沢から群れが飛び出したり、4日連続で攻めてもまだシカが居たりしており、シカが動くシーズンになれば夢の様な猟場であります。
しばしばここ1箇所だけで30発以上用意した持ち弾の全てが無くなる事もあり、ここ1箇所だけで捕獲した獲物の処理で一日が終ってしまう事もあります。
僅か数頭のシカを大勢で取り囲み、1シーズンに数発しか撃てない本州の巻狩りとはスケールが比較になりません。(本州の巻狩りの楽しさを否定する訳ではありません。)

講師は単独猟でもこれを行う事がしばしばあり、単独でも上手くやればソコソコ獲れますが、単独猟を成功させるのは相当のノウハウが必要と思います。またここの猟場では200~300mの遠射や100~200m級のランニングショットの腕が必要でその面でもやや高度な技量が必要です。そんな訳でショットガンハンターや経験の少ないライフルハンターが成果を上げるのは難しいのですが、そんな方もここモンゴル丘で目前を走る大物鹿の群れを見ればきっと新たな狩猟本能に目覚める事と思います。


  .伝説の紹介。
モンゴル丘の素晴らしさはその都度ブログに書きましたがその伝説を10項程まとめました。
1990年代は駆除が少なく、シカがスレておらず大雪の後でなくても伝説級の出来事が時々起こりました。2000年以降は年を追う毎に駆除が多くなりシカがスレて来ました。
その為2003年頃からは大雪の前後に限られる様になりましたが、毎年このモンゴル丘及びその周辺では何かが起き、これをモンゴル丘の伝説と呼んで来ました。

伝説級に大量にシカが動くのは毎年1回だけですが、その前後数日は伝説級には至らないものの出会いの量も大物率も大幅に向上し、これも根室猟の魅力の一つです。
積雪の後のモンゴル丘は1週間に1度前後面白くなります。射程も200m前後と長く又ランニング射撃も多くなりベテラン或いは上級チャレンジャー向きですが、ぜひ1度はこの素晴らしい根室猟を体験して下さい。1度訪れれば人生が変わる事と思います。

  その1997年11月6日 20mまで大接近。(ライフル編ドギュメントより)
北海道根室市別当賀。海に近い牧場(モンゴル丘)である。牧草地が90%、低い所は湿地と原生2次林になっており、シカはこの原生林に住んでいて牧草を食べにやって来る。
放牧されている馬の数よりもシカの数の方が圧倒的に多く、馬を放牧(当時は放牧していてその数年後に放牧されなくなった)しているのか鹿を放牧しているのか分からない状態です。

一般のハンターは立ち入り禁止であるが、今日は地主さんが特別に案内してくれると言う。
1km程先にシカ2頭を発見。障害となる物が何も無いので1km先も丸見えで発見は困難では無い。問題は距離、ゴルゴ13では1kmの狙撃が可能であるが、我々には200m以下で無いと可能性がかなり低くなる。

地主さんは「チャンスだ。あそこなら接近出来る」と言います。ほんとに出来るのかこの時は半信半疑。取りあえずシカに見られない様に低みを通って接近開始。迂回するので2~3kmとなる。延々と30分程歩いた。予定ではこの丘の向うに居る筈と言う。

背を低くし、忍び足で丘の頂上の手前まで行く。予定ではこの先100m程である。銃を装填し、そっと覗いてみる。右に左に目だけ動かしてみるがシカは居ない。そっと頭を引っ込め30秒後方向を少し変えて同様に覗く、これを何回か繰り返す。やはり居ない。

感付かれて逃げられたかと思いながら帰ろうとしたその時、シカの背中が僅かに見えた。250m程先である。ここからでは撃てない。幸いその中間に小さなコブがある。そこまで背を低くして忍び足で接近する。

コブの手前に着いた。予定では右45度、距離100m弱に居る筈である。そっとコブ越しに覗く。居ない。逃げられたか。しかしここで首を動かしてはいけない。これは何の猟でも同じだ。首を動かすと直ちに発見されるからである。そっと又コブの陰に引っ込む。30秒後少し角度を変えて右45度にまた頭をそっと出す。いないやはり逃げられたか。しかしまだ全域を見ていない。3度目、今度は左45度だ。今度いなければまずダメである。そっと頭を出す。居ない。目だけ右に回す。居ない。左に目を回す。居たッ。何と何と左20度の20mに居る。シカが接近中に移動したのだった。シカはまだ気付いていない。

又そっと頭を静め30秒。長い30秒である。この間にも少し移動していると読み、もう少し左向きに頭を出す。よ~し、正面だ。もう1度頭を引っ込め目で合図を送る。先輩は右を私は左を担当する。準備OKだ。目を合わせ頷く。カウント開始の合図だ。心の中でカウントする。ワン・ツー・スリッで一気に姿を出し同時に銃を構えスナップショットをする。シカはギョッとしてフリーズの状態だ。完全ノーマークになるまで時間をおかないとシカは銃を構えた瞬間にダッシュして撃ち難くなる。今回は大成功だ。

私の方が僅かに速かった。0.1秒以内の遅れで先輩も発砲、シカは2頭が同時に倒れた。
上手くやればこんなにも接近出来るのである。初めての貴重な体験であった。誠に誠にビューティフルだ。どこかの国で大金を払わなくてもこんなにも素晴らしい猟が出来る。
これぞ北海道なのだ。夕方地主さんにはお酒2本が届けられたのは言うまでもありません。

              97.11 6. 広いモンゴル丘で20mまで大接近。

  その1998年12月27日 超大物88cmの大記録。(ライフル編ドギュメントより)
この日は私がシカ猟を初めて15年余で最良の日となった。
場所は北海道根室市別当賀、何時もお世話になっている白崎牧場地内(モンゴル丘の手前)である。早朝から厚い雲が掛かり、明るくなるのが非常に遅い朝だった。

こんな日の奥の牧草地には朝1番にかなりの確率でシカが居る。先輩と二人で本日の狙いはそれにした。ランクルプラドで牧場内私道を進行中の事である。
丘を超えた所の右45度の1km先にシカ2頭を発見した。逆光でありシルエットしか見えないが2頭ともオスである事は確認出来た。

私がシカを発見するのと同時にシカも当方の車を確認したが、行動はシカの方が早かった。シカは車の前方を横切り左手の森に逃げ込む様である。
シカは全速で約60km/h、我がランクルはそうはさせじと速度を80km/hに上げ、シカの行く手をブロックする作戦に出た。距離100mを切ったら急停止し射撃開始である。

シカとの距離は300mになった。シカは現在車と併走しているが徐々に近寄って来る。しかしこのままでは車の前を通り抜けられないと悟ったシカは突然急停止の後、反対方向に走り始めた。車の後方を抜ける作戦に変更したのであった。
相手が普通のハンターならこれでシカの勝ちで終わる。それは普通の人はバックで60km/hを出す事が出来ないからである。

我がランクルと私の腕はバックでも時速80km以上出せるのである。シカは私と出会った事が不運であった。やがて車の後方も抜けられないと悟った鹿は再び180度方向を変え、走り出した。もちろん我がプラドも直ちに前進に切り替えた。
そうこうしている内にシカとの距離は右真横の100m程になった。もう少しで射撃開始である。車を停止させ社外に飛び出すまでの間に少し時間が掛かるのでアクセルを踏み少しシカの前に出たその時だった。

何とシカは突然90度向きを変え、車の直後を強行突破する作戦に出た。直ちにフルブレーキで停止、止まるが早いか飛び出すが速いか、弾込め・照準・発射と我ながら見事なスピードであった。距離50m強、心臓1発、もんどり打ってシカはコケた。命中したのは牧草地内であったが、止まったのは私道上であった。
もう数秒あれば私道を越えて森に逃げられる所であった。

更にオマケが付いた。もう1頭のシカは先頭が倒れた為、2頭目が又牧草地に引き返したのだった。もう1頭はそのまま走り切れば森に突入成功出来たのに牧草地に引き返したばかりに撃たれる事になってしまった。先輩はこれを1発で倒した。

先頭のシカに近寄ってビックリした。今まで見た事も無い程の大きな角を持ったシカである。測長すると88cmである。80cmを越えると超大物、このクラスは数も少なくその上捕獲が難しい。年間200頭を倒し、カメラなど出した事の無い先輩もカメラを取り出した程である。

最初のシカに9年、初トロフィーまでが12年、15年目の栄光の日である。
希望を持ち続け、努力を続ければいつか必ず栄光の日は来る、今日はそれを改めて知った。
この88cmはその後10年が過ぎてもNO.1で改めてその凄さを感じております。

             98.12.27. 大記録の88cm(結局これを上回る鹿は獲れなかった)。

  その1998年12月30日 初の300mの遠射と初の弾切れ。(ライフル編ドギュメントより)
今年は良い年である。3日前に大記録の88cm(狩猟大全集ライフル編の表紙)を頂いた。
その日に行こうとしていたのは奥の牧場(モンゴル丘)であったが、手前で88cmに出会い、奥まで行けなかったが、今日はその奥の牧場が目標である。当時まだここをモンゴル丘と呼んでおりませんでした。

根室台地は海抜30m程の平坦な台地であるが、侵食により所々が低くなっている。この低い所は牧草地に適さず、原生2次林になっている。
そしてここには水もあり、周りには餌となる牧草がたくさんあり、シカの生息に最高の場所となっている。この一つである大きな沢を今日は何時もの先輩と攻める事にした。二人で挟み撃ち作戦であるが、全て撃ち降ろしになる為に危険は全く無い。

配置に着いて間もなく距離200mで若オス2頭が出た。横方向に走っているので中々当たらない。10発を撃ったがダメであった。
次にメス5頭が先とは違う方向であるが出た。今度は真っ直ぐ遠ざかる方向であり比較的イージーであった。しかし当たらない筈はと思うが中々倒れない。今度も10発撃った。
見ると走っているのは4頭に減っている。向いの斜面中程に1頭倒れている。

たくさん撃った。あと弾は4発しかない。その時大きなオスが林の中を移動するのが見えた。そして林を出た所で止まった。チャンスである。距離約300mだ。まだ今まで当てた事は無いが当たらない距離ではない。落差を少し見越し肩の付け根を狙った。
よ~く狙い撃った。当たった。シカは林に戻った。しばらく様子を見るがどこからも出て来ない。林全体が良く見えているのでシカは絶対林の中にいる。
私は下り坂300mを一気に駆け降りる。100m当り10数秒の猛スピードだ。(当時は現役スポーツ選手並みでした)しかし心配が一つある。弾がもう3発しかない。

シカをヒットさせた近くまで行くと驚いた事にメス2頭が出てきた。距離20mである。
1頭はすぐに逃げたが、もう1頭は逃げない。迷った。弾があと3発も心配であるが、ここで撃つと大オスに逃げられる恐れもある。先輩を見ると丘の中程で支援体制に入っている。よし撃とう。ところが息が上がっていた為たった20mを外してしまった。しかしシカは僅か10m走っただけで又止まってこちらを見ている。もう弾は2発、1発は大オスに、そして1発は予備に残しておかなくてはならない。今回はパスである。

命中した場所に行くと大量出血が見られた。これなら絶対見失う事も無いし、たぶんそれ程は遠くない距離に倒れている筈である。50m程追跡すると倒れていたシカを発見、もう絶命している。ならば先程のメスに対して2発目を撃つべきだったと思うがもう後の祭りである。測長すると76cm、文句無しの大物である。

ほんの数年前の事である。その年は実猟7日で10回のチャンスがあった。小物5回と大物5回であった。小物5回は全て命中し回収出来た。しかし大物5頭は全て失中もしくは未回収であった。10数年間夢に見て来た大物を前にすると正常な射撃が出来なくなってしまうのである。今回は3日前の超大物の88cmを捕獲した直後であった為、心が高ぶらずに当てる事が出来たのであろう。
永年の夢の一つであった遠射が達成出来た。残るは更なる遠射と200m級走行射撃である。

           98.12.30. 弾切れ寸前の初の300m遠射成功,76cm。

  その2003年1月30日 80cm級の5頭群れに30発。(ライフル編ドギュメントより)
北海道根室別当賀の白崎牧場内である。88cmの大記録も300m遠射も20mまで大接近も私にとって多くの思い出に残る出来事は全てこの白崎牧場及びモンゴル丘で起こった。
ここは毎年何かが起こる場所である。

一昨日、根室地方は記録的大雪(50cm)となり、全ての林道が通行不能になってしまった。
猟期が明日で終わる為、地主さんの行為によりモンゴル丘までを除雪して下さり、この大戦果に続ながった。ハンターは4人、S氏、N氏、T氏に私である。最初は奥の沢で巻き狩りを行なった。好猟が期待されたが、残念ながらメスばかりで4頭と2頭の二つの群れしかいなかった。
この内2頭の群れは2頭とも頂く事が出来た。牧場内は雪が深く今の時期はスキーが大活躍である。スキーは慣れると雪が無い時よりも楽に速く移動出来るが、最もその威力が出るのは早足である。この早足で歩くと自転車並みの速度が出て、雪の無い時期に比べ半分の時間で移動出来る様になる。

そのモンゴル丘からの帰り道、5頭の大オスの群れを見掛けた。
モンゴル丘では気が付かなかったが、そこを早立ちした群れに再び出会ったと思われる。各自思い思いの方向に移動を開始する。私を除く3人はスキーで群れがこれから行くと思われる方向に先回りをしようとしている。私は彼等ほどスキーが上手くないのでその反対側に車で行く事にした。

丘のトップで待機する。視界は抜群だ。森までは約300m、270度射撃可能である。
待機する事10分程で先の5頭の群れが飛び出した。距離は1番近い私でも250m、遠い人は500mもあるが、全員が撃った。スラグのT氏ですら撃っている。群れは80cm級4頭と60cm級1頭の5頭である。
根室はシカが多いとは言えこんな群れに向けて射撃出来る事はここ白崎牧場でも年に1度ある無しである。これが第1ラウンドであった。このラウンドの中頃で前から2番目がコケた。スラグ以外の全員は俺のが当たったと思っている。私は13発も撃ってしまった。

第2ラウンドは方向が変った為に私一人の独断場となった。第1ラウンドでシカは射程外まで走り去った。本来はこれで終わりなのであるが、その先の雪が深いのか、何とシカが向きを変え戻って来た。戻って来たと言っても先程からすれば90度方向が違う為、他の人からは撃てずに私ひとりの独断場となったのである。私は急いで空になったマガジンに弾を込める。

そして200mを切った頃、射撃開始である。先頃まで立て1列の編隊であったが、この時斜め横1列の編隊に変わった。まるでエアーショーの様である。
5発撃ち、マガジン交換で又撃ち始めた2発目、1番手前の小さいのがコケた。残る3頭は沢に入ったまま出てこない。全員に再召集を掛け、その沢を囲む。

第3ラウンドはこの沢である。S氏が勢子となって沢に入る。間もなく3頭が私の目前150mに出て来た。射撃開始である。最初の5発で1頭がヨレヨレになり沢に戻り、ブッシュの陰で立ち止った。間もなく見えなくなったが脱出された気配は無い。
更にマガジン交換をして射撃を続ける。他の射手も撃ったが、残念ながら残る2頭には沢を脱出されてしまった。足跡を見ると2頭とも被弾はしている様である。追跡を開始しようとも思ったがその前に目前の沢に戻ったシカを止めなければならない。待ちの輪を小さくしながらS氏がそれを捜索する。

第4ラウンドはこの沢で起きた。捜索をしていると何とメス2頭の群れがひょっこりと顔を出した。再び十字砲火、2頭共その場でダウンした。そして沢に戻った1頭も回収された。だが残念な事に弾が片方の角に当たってしまい折れて無くなっていた。

出会いは2時頃だったが、いつの間にか3時を廻っている。本州の人には理解し難いが北海道はかなり北にあるので本州に比べて30分以上も日中が短く、そしてかなり東にあるので朝が早く夕方も早いのである。つまり朝は30分以上早く、夕方は1時間近くも早いのである。冬は3時半に太陽が沈んでしまい4時には暗くなる。
逃げた2頭の追跡も良いが倒した5頭を回収しなければならない。

本日は4人で82cm、80cm、65cmの3頭のオスと4頭のメスでありトータル7頭の大戦果である。問題は誰のが当たったかであるが私は位置にも恵まれ射撃しなかった最後のメス2頭以外の全部が当たったと思っている。しかしそれはこちら側の一方的見解であり、またそれでは定数違反になってしまう。この時代の定数はオス1頭メス2頭またはトータルメス3頭である。と言う事で私のスコアは大オス1頭と最初のメス2頭となった。
大オスの群れに30発余も射撃出来且つ捕獲出来た事は16年のシカ猟の中でももちろん初めてである。白崎牧場及びモンゴル丘は又今年も伝説を一つ作ってくれたのであった。

                2003.1.30. 80cm級の5頭群れに30発。

  その2004年1月13日 追い掛けて追い掛けて6kmで6頭。(ライフル編ドギュメントより)
30年ぶりの大低気圧の前日であった。場所は伝説の多い白崎牧場奥のモンゴル丘である。
3km程先にオスジカ10頭程の群れを発見した。
群れがどう動くか見守っていると後から後から下の沢から上がって来て群れは総数では100頭以上となった。約半数はメスの群れだった。いつもここで大きな群れを見る時はオスばかりであるがその点で今日はちょっと珍しい。

さてその群れの動く方向により、我々二人はどう先回りしようかと考えていた。どうもシカも考えているらしい。やがてシカは白崎牧場に戻る方向に歩き出した。ならば白崎牧場の入り口に急行しなければならない。
現在我々の車は反対方向を向いている。急いで方向変換を済ませるとシカもこれを見てとったらしくすぐにまた方向を変えた。ならば岬方面である。

シカは走り出した。本気で岬方面だ。我々は再度急いで方向転換し、アクセル全開で岬方面に向かうが雪が深くスピードが上がらない。3km程走り岬の入り口に着いた時ちょうど群れの第1陣が来た。オスの群れは違うルートを走っていると見え、視界内にいない。
急いで車から降り、射撃する。射撃始めは100m程度であったが、撃っている内に200m以上となる。一応2頭コケた。

急いで車に飛び乗りアクセル全開で走る。雪が深く思う様に追い掛けられないが、1km程走った所で再び群れに追い付いた。またもや車を急停止させ、飛び降りて射撃をする。又2頭コケた。
又車に飛び乗りシカを追跡する。今度は更に雪が深くシカに追い付けない。それでも2km程走るとやっとシカに追い付いた。3度目の射撃である。再び2頭がコケた。
これで6頭になった。もう岬の先端まで来てしまったので道は無くこれ以上の追跡は不可能だ。遠くに半矢数頭が遅れ気味に走っているのが見える。

ここは射撃可能な所が幅200m程度しかないのでその外側か内側に入れば我々は追跡不能になるのであるが、射撃可能エリアをずっと走ってくれるので車で追い掛ける事が出来た。しかし何とエキサイティングな猟であろうか。日本でこんな事が出来る所が他にあるだろうか。改めて白崎牧場&モンゴル丘は素晴らしいと思う。
猟の結果は中オス1頭、ピンオス1頭、メス4頭であった。北海道は素晴らしい。根室はワンダフルである。おそらくシカ撃ちでは世界1のフィールドであろう。

  その2005年12月26日 4回で20発、捕獲ゼロ。。(ライフル編ドギュメントより)
モンゴル丘でまたもや面白い事がありました。前日の天候は多少荒れ、夜半からは晴れてました。シカは朝から活発に動いていました。モンゴル丘は誰も入りませんから朝1番に入る必要はありません。
まずは根室ベースから1kmほどの所で4回シカを見て2回撃ちました。共にブッシュ越しで1回は木に食われて失中、もう1回は当たりましたが、ブッシュで弾がそれたのか出血も少なく追跡しましたが、未回収となりました。70cm位のものでした。

その後9時頃モンゴル丘に行きました。モンゴル丘には沢が5つありますが、この内の3つからシカが出ました。
1の沢からは5頭ほどの群が二つ、その内の一つは大物オスばかり5頭の群です。200mで走っていました。残念ながら有効弾はありませんでした。出ると予想した位置から100mほど違った為に発見遅れのアセリ射撃でした。

次に3の沢を攻めました。ここからも5頭のメスの群と3頭の大物オスの群が出ました。ほぼ予想した場所から出まして、距離も約150mで走ってますが当たらない距離ではありません。1番大きいオスに集中射撃を送り、被弾はさせましたが、倒れません。1kmほど追跡しましたが、これまた未回収になってしまいました。

次は左の沢です。1頭がブッシュ越し距離30mにいます。撃ちましたが、今回も弾が食われて当たりません。今日はなぜかツイテいません。驚いた事にここからは何と10頭程の群が5つ以上出ました。200~300m級を走っています。全弾発射し追加射撃もしましたが、有効弾はありませんでした。3つの沢で合計20発以上を撃ちながら、捕獲はゼロです。
時にはこんな事もあります。(昔は当たる事の方が少なく何時も有効弾ゼロでした。)

  その2005年12月23日、モンゴル丘で85cm強。(ライフル編ドギュメントより)
12月23日、ちょっと順序が入れ替わりましたが、この日もモンゴル丘を攻め、2頭を倒しました。左写真後方の左上の林の手前から撃ちました。約300mで各1発、俺ってこんなに射撃が上手かったのかと思いました。もちろんマグレが2回続いただけの話で私の実力はまだそれ程には至っておりません。
変形角で90cmはあるかと思いましたが、計測の結果は85cm強でした。

かつてこのモンゴル丘は場所が広過ぎて手に負えませんでしたが、最近はシカのいる所や動きが分かりかけて来ました。方法は一人で追い出し丘の上で立ち止った瞬間を狙撃したり、または追い出しておいてその逃げる先に急行するのです。おかげ様でこれらの複合作戦からしばしば複数頭を捕獲出来る様になりました。

                    2005.12.23. モンゴル丘で変形85cm。        

  その2006年1月、11日間でバカ獲れ42頭。(ライフル編ドギュメントより)
このお話だけはモンゴル丘の話ではありません。今年の1月は例年になく雪が深過ぎてモンゴル丘が走れません。原因は積雪量もありますが雪質が悪い為です。この為シカは牧草地で餌を食べられなくなり、舞台は林間コースに絞られました。

林の中でシカは主に木の下に生えた笹を食べますが、一箇所にそれ程の笹はありません。そのため毎日近くの林を移動します。また採食も日中に及び出会いも増す訳なのです。
しかし一方で車も走破困難です。一般的には通常最初の走破は相当な難易度であっても2台目はその半分以下、ところが今年の雪は違いました。1台目の走破の難易度も高かったのですが、2台目以後も難易度が低下せず、これが10日間も続いたのですから驚きです。

私のスーパーランクル以外にも何台かがチャレンジした痕跡はありますが、ほとんどが途中であきらめです。愛車の燃費リッター当り1.6km(普段は5km)が走行の難易度を物語っています。おかげでそこは私一人の専用猟場の様になってしまったのでした。
普通1台走破するとそこは次から次と車が入る様になり、3日もするとそこはもはや良い猟場でなくなってしまうのです。そこで私以外の車が入って来ないのであれば大切にと思い2~3日に1回しか同じエリアを使わない様にしました。この猟場温存作戦が11日間でバカ獲れ42頭の原因となりました。

残念ながら大物との出会いは本年に限り少なく捕獲は70cmに満たないのが2頭だけでした。また1度だけ100mで80cm前後と思われる大物に出会いましたが、未熟にも久しぶりの大物に射撃が上擦ってしまい未回収になってしまいました。

  その2007年1月26日、大物オスばかり50~60頭、6マガジンが空。(チャレンジ編ドギュメント)
本年度最後の猟の日、モンゴル丘の延長の場所です。今日の一斉移動は午後2時頃でした。

強烈でした。まずは80cm級大物ボスが仕切る12頭の群れが250m級を走っていました。やっと5発目でヒット、しかし何故かボスはまだ走っており、代わりにメスが1頭倒れています。どうもボスの手前のメスの頭に当たってしまいエネルギーを失った弾が当たった様です。車に飛び乗り追跡です。
その時1km程先を見てビックリ、何と大物オスばかり50~60頭が走っています。急いで追跡しますが僅かな差で大きな森に走り込まれてしまいました。

残念無念と思って振り返るとまだ10頭ほどのメスの群れが先程の近くにいます。
今度はこれを追跡します。250m程までアプローチし連射。その先を見ますとまだ4頭の群れが残っています。今度はこれを追跡、200mで連射。持ち弾の30数発を撃ち尽しました。
本日は結果として合計8チャンスからメス4頭回収。最初の大物も未回収でした。

    直接本文とは関係ございませんが、80cm級超大物がズラズラ。白崎牧場会員の2007年
    1月の2週間の猟果で彼らは巻狩り専門、私とは少し違うモンゴル丘の使い方をしています。


  その102008年1月27日、前代未聞17チャンスで200頭余出会い。(チャレンジ編ドギュメント)
毎年ほぼ必ず伝説級の出来事が起こりますが、本年はまだ至らずひょっとすると新しい伝説が起こらないかも知れないと思っておりました。しかし数日前の大雪の後にやっと待望のシカが動き出しました。

最初は既にメス20頭ほどの群れが250m先を走っていました。次に30頭の別の群れが同じ場所から出て来ました。その隣接の場所から別の20頭の群れと10頭の群れが出たのです。もちろんこれら全てに射撃しましたが残念な事に有効打はありませんでした。
その時反対側の沢にまた別の20頭ほどの群れが居ます。これには90cmボスが付いています。すかさず撃ちましたが、発砲と同時に動かれてしまいました。超大物はすぐに視界から消え追加射撃は出来ませんでした。この時のモンゴル丘から100頭以上に出会えましたが捕獲はまだゼロでした。これはまだまだ序の口でした。

その後モンゴル丘の隣接の白崎牧場奥の沢を攻めてみますと、どの沢からも出るわ出るわ、サファリパークの様です。テレビや映画の自然物番組でもこれ程は出ないと思います。
その結果としてモンゴル丘も含めて200頭以上の出会いから17チャンス6頭捕獲になりました。 最後の4チャンスはもはや弾切れでパスせざるを得なくなった程の出会いでした。
今年は天候異変も前代未聞でしたが伝説も前代未聞の200頭余の出会いとなりました。

        その後2011年には何と1日で600頭の鹿にモンゴル丘周辺で出会いました。        
        また同年放映された「南極大陸」のロケの1部はこのモンゴル丘で行われました。



  


Posted by little-ken  at 16:41モンゴル丘10の伝説