2011年10月08日

大物戦の醍醐味。

1.紋別ハンティングベースの天候。
紋別ハンティングベースは10月下旬から11月上旬にかけては大きな天候崩れは少ないのですが、毎日が何でもありの天候になって来ます。軽防水対策が必要になります。

朝はガスが掛かり薄暗い日も多くあります。こう言う日は鹿の引き上げが遅く大物に出会え易い日になります。鹿は夜に牧草地を食べに来て明け方に引き上げます。
日中も晴れたり曇ったり雨が降ったり、時には雪がちらついたりします。
夜の内に積雪がある事もあります。こんな日の前日は日中でも鹿がよく動きます。

天候サイクルは5日前後で回転しますが、本命は積雪の半日後、山から鹿がごっそり降りて来ます。
雪が真夜中までにやめば朝には牧草地にゴロゴロ出ています。
明け方まで降っているとAMの8~10時位に林道に行くとたくさんの鹿に出会えます。

山から降りたばかりの鹿は全般に駆除の洗礼をあまり受けておらず、メデタイのもチラホラいます。
デメキンも少しいます。デメキンの中には稀に大物もいます。
デメキンの大物が居る事がここの最大の魅力なのかも知れません。

2.対大物戦。
しかし経験の少ないハンターの多くは小物オスやメスは倒せますが、相手が3段角になっただけで外しまくる生徒も多くいます。中型とは言えエゾ鹿のオスはデカくて迫力があり、それに迫力負けしてしまうからです。

紋別スクールでは近年1日平均6回近い出会いがあり、その多くが発砲に至れます。
その結果として多くの1年生生徒は数日の内にメスと小物オスまでは倒せる様になれますが、3段角が相手になりますと今一つ至らない内に初年度時間切れになるのが平均値です。

相手が70cm級大物になると中型の3段角まですでにOKになった生徒でもまた外しまくります。平均的には5~10回の失敗でステップアップが出来ますが、ここに射手側のマグレと出会い側マグレであるデメキンが関与して来ます。

ちょうど良いのは数回失敗の後に近い距離でデメキンに会える事です。
これはまず成功しますが、同じ出会いであっても初回だったとしたらまず外します。

平均的にはメスや小物は50m強、3段角の中型は70~80m、70cm級大物は100m強、80cm級超大物は150m前後に多くいます。大物ほど広い範囲を取り仕切っているからです。
更に言えば大物ほど社会経験を多く積んでいますから照準時間を十分与えてもらえません。そして大物ほど撃たれ強く急所その物にヒットしないと未回収になってしまいます。

大物は心臓を撃ち抜いても200m走ります。弾が貫通していれば出血も多く追跡は可能ですが、貫通していない場合は追跡困難となります。中型オスはまず貫通しますが、大型になればなるほど貫通し難くなり、これはライフルでもスラグでも傾向は同じです。
対大物戦では健康骨と背骨の交点狙いが1番良いと思います。

しかしこの様なアドバイスが本当に必要になるのは2年目以降になります。
1年生生徒が初期の頃はその迫力に圧倒されてしまいロクに狙わないで撃ってしまう事も何ら珍しい事ではありません。角を含めた概ね真ん中位に発砲する事が多く、背中の真上10cm前後の空を切る事が一般的です。急所を狙う事すら忘れてしまうのです。

そんな事はあり得ない、そうならない様にしっかり練習を積んで来ている筈なのですが、何故かそれでもそうなってしまいます。
その領域を抜けると今度は外さない様によく狙います。稀な出会いですから獲りたい外したくないと思うからです。すると今度は発砲直前に鹿が逃げ出してしまいます。

鹿は「狙われたら逃げる」をすでに学習しているからです。大物ほど射撃距離が遠く良く狙わずあせって撃つと外れてしまい、良く狙うと撃つ前に逃げられてしまいます。ハンターの平均値より短い時間で発砲すれば相手が普通の中型クラスまでなら逃げられる率はそれほど多くありません。
この頃デメキンに出会えますと捕獲出来ますが、まともな大物はその時点の技量ではまだ難しいと言う事になります。

3.大物戦の醍醐味。
迫力負けしそうな精神状態の元、長射程距離で要落差読み、弾速も威力も精度も低下している弾でより撃たれ強い相手を倒すのですからより正確な着弾が必要、しかも速くしないと逃げられる、不利な条件の塊です。(特にサボットスラグの生徒にとって)

普通で言えば時間は幾らあっても足りない位ですが、それを平均的ハンターよりかなり速い時間内で勝負しなければならない、これが大物戦です。

難しく言えばそうなりますが、簡単に言えば
「ちょっと早く、ちょっと上手く引き金を落とせばそれだけでOK」です。

この「ちょっと」が「少し」ではなく、少しの時間内にやるべき事がたくさんあり、奥が深い所に狩猟の醍醐味があると言う事も出来ます。






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Posted by little-ken  at 10:28 │狩猟ロマン