2012年01月23日

番外編:2010年シカ猟。

番外編:先回 (2010年度) の 赤鹿猟 &ファロー鹿猟。 

  ファームの狩猟制度。
先回2010年の猟のメインはこれ、この狩猟はファームの狩猟です。場所は北島のほぼ中央のトンガリロ国立公園の1角のラファーファームと言う所で行いました。現地前払い済の1式価格6000NZドルには500ドル相当の8ポイント以下の2頭が含まれており、これを上回る鹿を捕獲した時は鹿の全ての枝角までを含む角長の全合計結果とポイント数によるNZ狩猟協会が決めた一覧表の価格が請求されます(かなり高額です)。

しかしこの方法ですと後刻にビックリする様な価格が請求される恐れがあります。赤鹿のトロフィー級は1時期に比べますとかなり妥当な価格に近くなっていますがそれでも俗に3000NZドル(約20万円)と言われており、ファローとシカディアで俗に2000ドル(13万円)です。シカディアはNZ人やアメリカ人には人気のある満州原産の鹿ですが、北海道で何時もの様にスクールで撃つエゾ鹿の方がやや大きくそれでいて2万円の登録費で撃ち放題、結果的に1頭が3万円位で撃てますから日本の方が圧倒的に安価です。

こちらとしてもすでにエゾ鹿は80cm級を多数倒しており、明らかにこれより大きくないと意味がありません。12ポイント以上の赤鹿1頭と2頭目は日本には居ないファロー鹿の準トロフィー級の合計2頭を2000ドルの追加で話を付けました。


  侮れないファームの狩猟。
現場は林で囲まれた適当な大きさの草地が点在する高低差は殆どない地形です。ファームは柵の中ですが、5 x 10kmと非常に広く柵の存在は全く感じません。
まずは車で高台に上がり双眼鏡で鹿の群れを捜索し、適当な鹿が居るとその近くまでは車で行って最後は林の中を忍び歩きでアプローチします。ブッシュから銃身だけを突き出す形で近くの木に委託するかプローンで撃ちます。通常の射撃距離は100~300mです。

1.5日の間に11回アプローチしましたが、予想外の難易度でした。何とか射程距離にまでたどり着いたのは4回、残りはその場に着いた時にはもう鹿は居ませんでした。
何回かの空振りの後、ある時はファロー鹿1頭がブッシュ越しの50m先に居るのが見えますが、枝が邪魔になって撃てません。そっとそっと撃てる位置までほんの少し移動しましたが逃げられました。もう1度は林の先150mの赤鹿3頭に対して急がなければの心理と林の中のブッシュ超えの予想外のハードさが組み合わさり、その結果として息が上がり過ぎて失中してしまいました。

フィールドのゲームは失中しても未回収になっても多くの場合にリスクはありませんが、ファームの半矢未回収の場合にはリスクがあります。失中はOKですが、半矢になった場合はほぼ必ず死んでしまいます。ファームの鹿が1頭減少する事実は回収されても未回収になっても変わらないのですから未回収になれば代金だけ支払って涙の手ブラ帰還になる事も最悪の場合はあり得るのです。

番外編:2010年シカ猟。
  ラハーファームは北島の中央よりやや下のラエヒテと言う地名のトンガリロ国立公園の一角です。
  草地と林が適度に配置され赤鹿、ファロー鹿、シカディアの3種類が自然放牧されています。
  中央やや左下には赤鹿のトロフィー級がいます。この鹿へのアプローチは失敗に終わりました。



  ファロー鹿捕獲ドギュメント:150mでヒット。
また数回を空振りの後にファロー鹿5頭の群れにアプローチしました。今度のアプローチは大成功で林の出口の先約150mにファロー鹿が5頭、ノーマークで草を食べています。群れの中の2頭は中々のトロフィー級ですが残念ながら指定はNO.3です。そうなんです。先に金額を契約した場合はファーム側が撃つ鹿を指定するのです。

そっとプローンの姿勢を取り鹿が撃ちやすい角度になるのを待ちます。やがて鹿の角度が変わり体が真横になりました。まだ餌を食べておりノーマーク状態のままです。150mと言うのは撃ち頃の距離ではありますが一方で外し頃の距離でもあり、舐めて掛かってはいけません。狙点をショルダーの急所に合わせてそっと引き金を引きました。

良い感じで引き金が落ち、弾が出ました。「ドンッ」そして殆ど同時に「ボコッ」良い感じの命中音がして鹿はその場に足をすくわれて落ちる様に倒れました。他の鹿は一瞬何が起こったのか分からずキョトンとしてこちらを見ています。エゾ鹿でも稀に山から降りたばかりの鹿でこう言う事が起こります。すぐにボルトを操作すれば次が撃てる事もしばしばあります。今回の契約は1頭だけですからじっと見ている以外に方法はありません。4~5秒後、我に帰った残りの鹿はぶっ飛んで逃げて行きました。

私が撃ったファロー鹿は後刻計測すると角長58cmでボス争いに参加したらしく、各角の先端が全て欠けていると言う歴戦の強者でした。ファロー鹿は全身が普通に茶色の物、白色の物、そして今回の様な胴体部だけ白い3種が居ます。日本に於ける白鹿は神の使いだそうですが、ファロー鹿では白い種類もいるのです。

現場ではこの時の音に驚き300mほど先の森の中から6頭の赤鹿の群れが草地に出て来ました。4頭は中々良いトロフィー級です。撃てない事もありませんが距離も遠く位置関係もあまり良くなくこれはパスしました。


  番外編:2010年シカ猟。
 本州鹿よりやや大きい角長58cmのファロー鹿です。角の先端が全て折れて何時と言う歴戦の鹿でした。


  赤鹿捕獲ドギュメント:250mでなんとか命中弾。
その後も空振りが1度、その次に赤鹿6頭の群れにアプローチしました。内4頭は良いトロフィー級です。射距離は250m、これ以上は草地で短縮出来ません。指定は群れのNO.4。日程も残すところ0.5日しかありませんのでやや不利ですが撃つ事にしました。鹿の群れは草を食べておりノーマークです。立ち木に半依託射撃で真横を向くのを待ちました。

狙うは何時ものショルダーの急所です。引き金を引きました。微少ブレた感じがしましたが当たらない事は無い程度でした。結果は音に驚いたのか50mほど遠ざかる方向に走り、立ち止まってこちらを見ています。他の群れはもう少し離れた所で固まってこちらを見ています。今度は300m、微少上を狙って第2弾を発射、今度は良い感じでした。しかし鹿は命中の感触を示さず速足で森に向かいます。

第3弾は歩行速度が大幅に落ちた所で撃ちました。また何の反応もなく速足になり、そして歩行速度が再び落ちた所で第4弾を撃ちました。また同様の状態で速足になり、間もなく林の陰になってもう撃てなくなりました。

どうして倒れないのか、絶対に何発かは当たった筈と思い、ガイドに聞くと「少なくとも2発は当たった。2発目の時は倒れるかと思った」と言います。気を良くして弾を補充しながら林をショートカットし追跡します。林を抜けると150mほど先を今にも倒れそうな感じでゆっくり歩いている鹿が目に入りました。すかさず銃を向けて立ち止まるのを待ちましたが中々立ち止まりません。ウォーキングのまま撃つ事にしました。

銃を止めずにリードはゼロで撃ちました。今度は被弾ショック反応をハッキリ示し、その場に沈む様に倒れました。近寄って被弾箇所を見ますと射入口は3つ、射出口は一つでした。最後の弾はショルダーの急所に命中貫通していましたが、1発はやや体の中央側、もう1発は更にもう少しずれており共に貫通していません。つまり第1弾は急所から少し外れた所に命中、第2弾はもう少し急所に近い所に命中、300mウォーキングの第3&4弾は命中しなかったと言う結論になりました。

被弾ショックの症状が見られなかった点に付きましてガイドは「そう言う事もしばしばある」と言う程度で良く分からないと言った感じでした。アフリカでオリックスを撃った時及び北海道でヒグマを撃った時も非貫通で無反応でしたがアフリカのクドゥは貫通しており被弾ショックを示しました。私の多数の経験値からの見解では非貫通時は被弾ショックを殆んど示さず、貫通の場合はショック反応が出るのではないかと思います。

赤鹿の結果は12ポイントの角長99cm、やや不揃いで形も良くないのですが体重220kgと明らかにエゾシカよりも大物、ファロー鹿を含めておかげ様で両者とも一応満足の行く獲物となりました。

番外編:2010年シカ猟。
  2010の赤鹿です。約220kg(エゾシカはMax170kg)角長99cmでした。左はガイドの加藤氏。
  サムライ気質の人で彼の愛銃はアリサカ38式改です。




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Posted by little-ken  at 10:45 │海外狩猟