2009年07月12日

2.ナミビア ハンティング ドギュメント。

2.狩猟ドギュメント。
全てのドギュメントを載せると長くなり過ぎますのでメインターゲットのクドゥだけに留めます。
クドゥはシカよりも牛やカモシカに近い種であり、成獣の角長は最大で130cm程になります。クドゥにも数種類ありますがここで生息しているのは1番大きいグレタークドゥです。
体重はムースには及びませんがエルククラスで成獣オスは400kg以上です。
メスは小柄で角もありません。角は初期の頃は年間25cmほど伸び、4~5年が過ぎ、スパイラルが2回転に近くなって来た頃からがトロフィーサイズと言える様になります。

目はそれ程良くはありませんが、耳は非常に大きく音と匂いには敏感で接近は必ず風下からの隠密でなければなりません。
実際5日目終了までに2人で10余回を対戦しましたが半数以上は空振り、つまりハンターの視界内に姿を現す事も無く立ち去ってしまいます。
1度だけあと2秒で撃てると言う所までアプローチ出来ましたが、残りの多くはチラ見で一方的敗戦が続きました。
狩猟もほぼ毎日何かが捕獲出来ますが、クドゥに関してだけは連続敗戦。5日目からはクドゥオンリーに焦点を絞りましたが、このままでは獲れないかもと思えました。

そして6日目、今日も朝からクドゥ狙いです。何時もは朝からチラホラとクドゥを見る事が出来るのですが、今日は10時になってもまだ1頭も見ません。
一番奥のエリアで隣との境界近くの場所まで来た時に状況は一変しました。何とオスのクドゥが群れでしかも群れが2つも居るのです。メスの5~8頭の群れも3つ居ます。

最初に見えたオス3頭の群れは谷の奥に入ってしまい見えません。もう一つのオス3頭の群れは谷の手前を走って隣地に逃れ様としています。
こちらは二手に分かれる作戦を取りました。D生徒とガイドのアレックスは奥に入った群れを追跡します。
こちらはガイドのニコと共に谷の手前を走るクドゥに対して3km先まで先回りを掛けますが、クドゥは予想よりも脚が速く先回りには至らない様です。

ところが実はもう一つのオス5頭の群れが車から見ると死角を走っていたのです。
すぐに下車をしてランニング射撃体勢を取ります。距離は100mですから十分に命中させられると思いますが、ここでは北海道と違い1頭幾らですからミスるとゲーム代700ドルと未回収肉代300ドル(ガイドの副収入となる)の罰金を取られます。又ガイドの指示に違反したとして更に罰金を取られます。

250m弱で群れは立ち止りました。先頭と最後尾がかなり大物です。ガイドの指示で最後部を狙って撃ちました。狙うは心臓です。ところが命中音はしましたがやや弱い感じでした。
ガイドはと見ると何も指示を出さずに群れの先を抑えるらしく走って行ってしまいました。
雑用係りのジョンに聞くと失中で木に当たったと言います。

この日のこの為のここ1番の射撃にミスるなんてガッカリです。どうせ罰金ならばランニング射撃をするべきだったと思いましたが、後の祭りです。
しかし気を取り直して状況を見ますと群れはまだ一つ残って居るかも知れません。又ガイドのニコが先を押さえに行っていますから群れが帰って来るかも知れません。
そこで谷が見える所まで独断で行って見る事にしました。

まもなくすると3頭の群れが帰って来ました。今は森の影でチラチラと見え隠れしながら走っていますが、まもなく視界の開けた場所に出ます。
すぐに近くの立ち木に依託射撃の準備をしますが適当な枝がありません。そこで今までやった事は無いのですが、枝に左手の薬指と小指を掛けて親指と人差し指でスコープリングを握って銃を上から吊り下げる射撃体勢を取りました。

クドゥの群れは予定通りに位置で止まりました。最後尾が1番の大物です。
300m強ですが意外と銃の安定は良く行けそうです。心臓狙いで1発撃ちました。命中です。
しかし群れは走り去りました。ガイドの指示を守らなかったし、クドゥは逃げられるし、これも典型的な罰金タイプです。
しかし遥々アフリカまで来て目の前のクドゥに対して撃たないではおられませんでした。

まもなくガイドのニコが帰って来ました。当然良い顔をしていません。とりあえず「ソーリ」で始めて経緯を話します。何処から撃ってどうなったと聞きますのでここから撃って、あそこでクドゥは小さくピョンと飛び上がったと伝えました。

現場まで行くとクドゥが走リ去った足跡がすぐに見付かりました。30mほど行くと地面に血の跡も少しありました。もう少し行くと立ち木の1.2m程の高さにも血の跡が付いています。そこから更に50m程追跡しますと所々で立ち止った痕跡があり苦しそうです。これは期待が持てそうです。
更に追跡すると突然足跡が乱れてその先10m程の所に倒れていました。命中場所はと見ると心臓を僅かに外れていますが、300mからの射撃を考えると十分に合格点です。

2.ナミビア ハンティング ドギュメント。
         角長115cm体重380kgのクドゥ。      

話が前後しますが、私が300m射撃をしてから約5分後にD生徒の方からも2発の射撃音が聞こえました。残った2頭が彼の方に向かった様です。
ガイドのニコは私のクドゥを見届けるとすぐにD生徒の方に向かいます。
後刻にD生徒の話では500m位の時にクドゥを見付けてすぐ近くの木の陰でじっと待ったそうです。150mで彼を視認して立ち止った所を心臓狙いで大きい方に射撃したそうです。

初弾発射、命中していると思うのですがクドゥに変化無し、急いで次弾を発射、それでも変化なし。3発目を装填して銃を向けるとクドゥが居ない、どうした事かとガイドのアレックスを見ると「コングラチュレーション」と言う。クドゥはその場で倒れて草の背が高かったので見えなくなったのでした。恐らく最初の1発のままでもまもなく倒れたと言います。

こうして私の独断から2人が一瞬でハッピーになったと言う訳でした。
ガイドの指示を待っていたら私の2回目の射撃チャンスは発生しません。今までの10回余の対戦から見てもう今回はクドゥ捕獲が絶望的になります。
D生徒側に取っても私があの群れを撃たなかったら、これも今までの確率からすれば素直に待ちに掛かるとは思えませんから彼のチャンスの可能性は大幅に減少したと思われます。

同時に2人のガイドも2頭捕獲でハッピーになりました。彼らも捕獲が無ければガイド料だけの収入しかありません。ハンター2人で1日が500ドルです。これには車代やロッジ代や食事や酒が含まれていますから手元には殆んど残りません。しかし捕獲すればゲーム代や肉代が入りますので3倍程の収入になり、更にチップも多少期待出来るからです。
ガイドのニコも私が彼に従いませんでしたから当初は良い顔をしておりませんでしたが、2頭捕獲にニコニコ顔になりました。「よく遠射を当てた、上手い」と言ってくれました。

2.ナミビア ハンティング ドギュメント。
           超大物2頭の捕獲で荷台に収まりません。





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Posted by little-ken  at 09:48 │海外狩猟